道場旬皿

道場流 揚げ物の 楽しみ

僕の料理はお客さんと共に進化する

「料理は無尽蔵だと思うんだよね。」常々そう語る親父さん(道場六三郎)。確かに毎年季節ごとに披露される料理は、いつも新しさと驚き、そして楽しさを追求した料理です。客が毎年楽しみにしている定番料理ですら、その時々にあわせて変化し、年とともに進化を遂げています。
「機転が働くんだよ。ひとつ料理が思いつくと、ああしてやろうとか、こうしたら喜んでもらえるかなとか。」
いつも相手にしているのは今その時の客。だから試行錯誤はいつまでも続き、究極の「思いつき」も生まれ続けます。
手にはいろいろな揚げ物のアイデアを書き込んだメモ
春の吹寄揚
春の吹寄揚
相並から揚
相並から揚
加茂茄子揚出し
加茂茄子揚出し
健康志向のお楽しみ近頃のお客様は健康志向の方が多くなったと女将の照子さん。揚げ物を敬遠される客もいるそうですが、ぜひ食べていただきたい揚げ物料理もあるので少し残念な気持ちになるそうです。 お店には若い方からご高齢の方まで幅広い年齢層の客が来店します。 「脂っこいお食事を控えたいと思っているお年寄りも結構いるんだよね。」 そこで例によって、親父さんの喜んでもらうアイデアがいろいろ動き出します。 揚げ物が体に悪いというイメージではなく、健康志向の人にも安心して楽しんでもらえる揚げ物をという作戦とあいなりました。「現代のお客さんの好み」に合わせて楽しさを提供する道場流サービスですね。

バリエーションという楽しみ

写真上左から
夏野菜の揚げ出し/揚出し豆腐/茄子の挟み揚げ
茄子と海老の秘伝たれ/蓮根揚げ餅
「昔は賀茂茄子といえば調理はほとんど田楽だった。僕があるお客に揚げ出しにして出したら、こんなの初めてだとえらく喜んでくれてね。」いまや、茄子の揚げ出しは人気の定番メニューです。揚げ物だけどこれが不思議とさっぱりと食べられて、なんだかうれしい気持ちになる一品です。
「揚げ物っていったらただ揚げて出すだけじゃなくて、いい食材を使って、揚げるという行程を通ってから、もう一手間かけてやると油を気にせず食べやすくなったり、おいしさも変化したり。そいういのが面白い。」 なるほど。厨房から出てきたいろいろな揚げ物を並べてみると、「揚げ物」といった言葉のイメージを心地よく裏切ってくれる楽しさがありますね。
夏野菜の揚げ出し
揚出し豆腐
子の挟み揚げ
茄子と海老の秘伝たれ
蓮根揚げ餅

おいしさと健康に新しい技術。

そして親父さんは新しモノ好き。古いものが嫌いな訳じゃなく、歴史や伝統を敬いながら、でも新しい良いものはどんどん取り入れるのが道場流。ぱりっと揚がる、そして時間が経ってもへたらない衣の研究もいろいろしたそうです。
でも「揚げる」という技術は昔から、油を熱するというだけで全く進化していません。昔は薪で火力調節が難しかったけど、いまは温度制御付きのフライヤーになったくらいでしょうか。
そしてニュース。時代にふさわしい揚げ物を追求するために「銀座ろくさん亭」と「懐食みちば」ではこれまでにない新しいフライヤーの技術を導入することにしたそうです。
油を熱するだけではなく、静電気の力で揚げ時間が3割程度短くなり、食材や衣が吸う油が少なくなりカロリーダウンも。食材の水分を逃がさずふっくら仕上げることもできます。なにより添加物のない体にいい油を使って体に良い揚げ物ができるようになりました。健康を気にする現代の客の要望に合わせて調理法も進化させる。やっぱり道場流ですね。
年期が入っているように見えますが、実は添加物のない、むしろ体に良い油を使って、更にこれまでにない揚げ物調理の可能性をもった新フライヤー

そして道場流も進化するかも?

この新しいフライヤーで揚げ物をやると、いろいろ新しい発見があって面白いと親父さん。
「衣を付けずに豆腐の素揚げをするでしょ。油はねしないんだよね。そして表面がかりっと揚がる。たとえば、ウチのチーズの西京焼きに薄く粉を付けて揚げると外はぱりっと、中はとろりと仕上がる。面白いね。」
野菜の揚げ出しでは茄子をさっと素揚げして皮を剥いたら、揚げ茄子というよりはさっぱりした焼き茄子のよう。でも焼きなすよりほくほくしていて、これまでにない揚げ茄子になりました。
「うちの揚げ物はこれで体に安心、おいしさもいろいろ楽しんでいただけるようになったけど、これからいろいろ研究したらもっと面白くなるね。」
また道場流が面白くなってきました。
トマトの素揚げ。はねたりはじけたりせずふっくら揚がりました。
豆腐の素揚げ。食材の水分がしみ出さないのではねないそうです。
いろいろ研究したら面白くなりそうだな、と親父さん